危険物容器等検査業務

目次
1.検査の概要          6.規則の概要
2.検査の申請          7.危険物の決定
3.書類審査           8.容器の決定
4.検査の実施          9.表示の有効期限
5.証明書            10.危険物容器検査試験基準
1.検査の概要

1.1 検査の概要
当協会の検査では、申請された型式が危規則、告示及び危険物容器検査試験基準の構造要件に適合しているものであることを書類審査し、性能試験を実施し、検査に合格した場合には申請者の年間計画等に基づいた申請個数に対して、検査に合格し、unマークを表示することを認める危険物容器検査証を交付いたします。



1.2 検査の手順
検査の試験は、原則として当協会の検査員の立会いのもとで、申請者の検査設備を使用し、申請者に実施していただきます。
検査の流れは、フローチャート のとおりです。



1.3 検査の方式
危険物容器の検査は、申請者が準備した供試品で必要な性能試験を実施します。容器の種類によって、A方式及びB方式の検査の方法がありますので、HKと相談の上、いずれかの検査の方法で受検してください。
なお、いずれの検査の方法であっても性能試験の内容、容器に表示した「unマーク」の有効期間については、変更はありません。
ただし、天然木材製のものは、原則としてA方式のみの検査となります。



1.3.1 A方式の検査
A方式の検査は、危険物容器製造ごとの検査です。
A方式の検査は、単一容器にあっては容器全数が完成状態にあること、組合せ容器にあっては内装容器と外装容器が全数そろっており、完成検査が可能な状態にあることが必要です。HKの立ち会いのもとに供試品で必要な「性能試験」を実施した後に、申請された個数全数の完成検査を実施します。
一時的に危険物の輸送をする場合にはA方式の検査を選択すると便利です。



1.3.2 B方式の検査
B方式の検査は、検査証の交付日から1年間又は検査申請した個数を製造する間のいずれか早い時期まで、検査に合格した危険物容器に対するunマークの表示等の管理をお任せする検査です。同一型式の容器を量産し、出荷時期が特定されない場合に選択すると便利です。
B方式の検査は、必要な性能試験及び工場調査行い、その結果に問題がなければ検査証の交付日から1年間に又は検査申請した個数を製造する間の何れか短い時期(以下「委任期間」という。)まで、 検査に合格した危険物容器のunマークの表示、数量、有効期間、品質等の管理をお任せします。なお、容器を継続的に製造する場合には、性能試験及び工場調査を委任期間満了前に申請する必要があります。
性能試験を行った容器と同じものを継続的に製造できる能力を備えていることをHKが確認する必要がありますので、容器の製造所の組織、設備、品質管理、社内検査記録等の資料を検査の申請時に提出して下さい。
B方式は、一定期間管理を容器の製造者にお任せする方式ですので、その管理に問題等があった場合は、改善をお願いします。また、問題等が度重なる場合には、やむを得ずB方式の検査を中止する場合があります。
「検査申請した個数」とは、一回の性能試験で製造を認める個数です。申請できる個数は、HKで定める「ロットを形成する個数」以下となります。
また、B方式には、次の二つの方式があります。
(ⅰ) B―1方式…容器の性能試験にHK検査員が立ち会う方式です。
(ⅱ) B―2方式…HKが認めた試験機関で性能試験を行う方式です。
B―2方式では、性能試験にHK検査員の立会は基本的に省略致します。ただし、試験依頼を試験機関等に行うに先立ち、試験内容等についてHK担当支部と十分打ち合わせた上で試験依頼を行い、試験を実施して下さい。試験機関での性能試験の結果が不合格であった場合には、速やかにHKに報告してください。
現在、HKが認めている試験機関は(一社)日本船舶品質管理協会 製品安全評価センターのみです。
B方式の検査では、検査証交付日から1年経過又は検査申請した個数を製造終了する場合に、継続して当該危険物容器を製造する場合には、性能試験の供試品の個数、工場調査が一部軽減する場合もありますので、その検査時期の少なくとも1ヶ月以上前に、予めHK支部にご相談下さい。
unマーク管理者は、unマーク管理表に危険物容器に表示を付した個数を記載し、3ヶ月毎にHKに報告してください。
下記、2.2.3(1)項を考慮したうえで検査の申請個数を決めて申請したものの、実際の製造個数が申請個数を下回った場合には、HKの定める払戻要領に従い、払い戻しができるようになっております。ただし、製造番号、ロット番号等により現物との確認が必要となりますので、詳細については、事前に検査を申請されたHK支部にご相談下さい。



1.3.3 容器の種類により選択できる検査の方式
小型容器、IBC容器(フレキシブルIBC容器、ファイバ板製IBC容器及び木製IBC容器)及び大型容器(以下「小型容器等」という。)にあっては、A方式又はB方式。
ポータブルタンク、IBC容器(金属製IBC容器、硬質プラスチック製IBC容器及びプラスチック内容器付複合IBC容器)及び高圧容器(以下「ポータブルタンク等」という。)にあっては、次の手順で検査を行うことになります。

(1) 初めてHKの容器検査を受検する場合にあっては設計型式を伴う初回検査
(2) HKの設計型式承認を取得した型式を製造し使用する前にあっては、設計型式を伴わない初回検査(以下「初回検査(C)」という。)
(3) 初回検査(C)、臨時検査又は定期検査後2.5年以内の間隔で行う中間検査
(4) 初回検査(C)、臨時検査又は定期検査後5年以内の間隔で行う定期検査
(5) 初回検査(C)、臨時検査又は定期検査後、HKの検査試験基準に規定された間隔で行う定期検査
2.検査の申請

2.1 検査の事前打ち合わせ
申請者は、検査項目、検査内容、検査のための試験設備等について当協会の支部長又は先任検定検査員と予め十分に打合せを行ってください。
申請者は、検査の準備の都合から検査が可能な日を予め設定していただき、当協会支部に電話等で検査実施日を予約してください。双方の都合のよい日を調整し、検査実施日を決定いたします。提出していただく検査申請書には、この決定した検査実施日を記載してください。



2.2 検査申請の基本的な事項



2.2.1 申請者
危険物容器検査の申請者は、容器の分類及び検査の方式により下表のとおりとする。


(注1)「容器に関係する者」とは、容器の所有者、製造者及び利用者を含む。
(注2)「容器の製造を完了する」とは、次の場合をいう。
   (ⅰ)単一容器及び複合容器の場合は、「危険物を収納する機能を有する容器として完成させる」
      ことを、また、
   (ⅱ)組合せ容器の場合は、「内装容器及び外装容器を組み立てて、危険物を収納する機能を有する
      容器として完成させる」ことをいう。
(注3)「容器の製造を完了」した時点では、当該容器への危険物の収納はなされていない。
(注4)「最終梱包を行う」とは、「完成した容器に危険物を収納した後、運送可能な状態に仕上げる」ことをいう。
(注5)小型容器にあってB方式の検査を選択できるのは、単一容器、複合容器及び組合せ容器である。
(注6)IBC容器のうち、B方式の検査を選択できるのは、フレキシブルIBC容器、ファイバー板製IBC容器
    及び木製IBC容器に限る。



2.2.2 検査の申請時期
危険物容器の検査申請の時期は次のとおりです。

(1) 初めて危険物容器として容器を製造し、危規則に定めたunマークを容器に表示しなければならないとき。
(2) B方式による検査の場合には次のとおりです。
B方式による検査を受検し、危険物容器検査証を交付した日から1年を経過した日、又は、検査申請時に申請した個数を製造終了したときのいずれか早い時期です。
「危険物容器検査証」の有効期間が満了しますと、再度申請して有効な同証を発給されない限り、該当の危険物容器の製造することはできません。検査の準備、手続き等に一定の期間を要しますので、有効期間の満了日の1ヶ月前から申請をお願します。また、有効期間内に継続して検査を行う場合には、袋を除いて性能試験の供試品の個数を軽減することもあります。
B方式によってHKの立会で性能試験を行ってから1年以内であって、当該性能試験後の申請時の個数を製造し、追加で製造を行う場合は、再度検査の申請をしてください。この場合には、
(a) 立会試験後の製造数が「ロットを形成する個数」を下回る場合には、性能試験を省略することがあります。
(b) 立会試験後の製造数が「ロットを形成する個数」を超えた場合には、社内でHKの検査試験基準に基づき性能試験を実施した成績書に、試験の状況を写した写真等を添付して申請して下さい。
(3) 定期検査及び中間検査の場合には次のとおりです。
ポータブルタンク等にあっては、初めてHKの基準に基づく検査に合格し表示した日から、2.5年及び5年の日(有効期限日)を超えて充てん及び運送することはできません。
有効期限日は、2.5年中間検査にあっては、前回の初回検査又は定期検査から起算して、2.5年目の日付とし、5年定期検査にあっては、前回の初回検査又は定期検査から起算して、5年目の日付とします。臨時検査を行った場合には、その日から起算します。
ただし、次の場合にあっては、有効期限日以降に運送することはできます。これにより運送する場合にあっては、運送文書にこの記載を含め、また、HKの検査の際にその写しと理由書を検査申請書と同時に提出してください。
(a) 有効期限日前に充てんされた容器であって、有効期限日から3ヶ月未満の期間運送する場合。
(b) 危険物を排出後、洗浄前であって、再充てんの前に必要な試験及び検査を行うために運送する場合。
(c) 主官庁により承認されている場合を除き、有効期限日から6ヶ月を超えない期間にあっては、充てんされた危険物の廃棄及び残留物の返送のために運送する場合。
(4) 主官庁により承認されている場合を除き、有効期限日から6ヶ月を超えない期間にあっては、充てんされた危険物の廃棄及び残留物の返送のために運送する場合。
(a) 金属製IBC容器、硬質プラスチック製IBC容器、プラスチック製内容器付複合IBC容器であって、修理を行った容器にあっては、修理を行った後、使用する前に検査を受けなければなりません。
(b) 金属製IBC容器、硬質プラスチック製IBC容器、プラスチック製内容器付複合IBC容器であって、改造を行った容器にあっては、該当する箇所の設計型式の試験を実施した後、個々の容器について使用する前に検査を受けなければなりません。
(5) 金属製IBC容器、硬質プラスチック製IBC容器及びプラスチック製内容器付複合IBC容器であって、一定個数のHKの検査実績のある製造者は、B方式の検査に準じた検査の方法をとることがあります。詳細については、HK支部にお問い合わせ下さい。



2.2.3 申請型式及び申請個数

(1) 小型容器等

 申請できる個数は、検査の方式にかかわらず、HKで定める「ロットを形成する個数」以下でなければなりません。
申請する型式は、前年の出荷実績、出荷目標等を勘案して申請して下さい。何年も実績のない型式を継続して検査を受検し続ける必要はありません。また、容器の外表面のデザイン(色、図、注意書き等の容器の外表面の印刷されたもの。以下同じ。)のみが異なる場合には検査は必要ありませんので、基本となるデザインの型式で受検するようにしてください。
申請書に記載する申請個数は、前年の出荷実績個数、1年間の出荷(生産)目標個数等により、「ロットを形成する個数」以下の申請個数を申請者が決めて下さい。
ただし、2.2.2(2)(a)の場合には、「ロットを形成する個数」からHK検査員が立ち会った性能試験時の申請個数を引いた数以下となります。
(2) ポータブルタンク等

検査は、全数検査となりますので、申請個数は、製造した個数となります。



2.3 検査の申請手続き
申請者は、危険物容器検査申請書を物件を製造する事業場の所在地を管轄する当協会の支部に申請し、検査手数料及び旅費相当額を支部指定の銀行口座に納付してください。なお、振込手数料は、申請者でご負担願います。 支部の所管区域については各支部の所管区域を参照してください。



2.3.1 危険物容器検査申請書の様式  危険物容器検査申請書の様式は、HK-4様式 です。  なお、「申請者及び製造所の連絡窓口と性能試験の供試品概要」及び「経路・交通費明細表」は、必ず申請書と同時に提出してください。 検査の申請に必要な書類 は、容器の種類、検査の方式に応じて危険物容器検査申請書と同時に提出してください。



2.3.2 検査手数料及び旅費相当額
 検査を申請する場合は、検査の実施前に検査手数料を納付していただきます。この検査手数料は、個々の物件ごとに定めていますので、当協会支部に問い合わせてください。
旅費相当額は、検査員が申請者の指定した試験実施場所までの往復の交通費、日当(1日2,200円)及び宿泊費(1夜10,900円)です。交通費は、合理的な公共交通機関を使用し、当協会支部から検査試験実施場所(臨検場所)までの往復の実費となります。宿泊費は、遠隔地にあって宿泊を必要とする場合に限り納めていただきます。
検査手数料及び旅費相当額は、検査申請書と同時又は検査実施日の2日前までに当協会の支部指定の銀行口座に納付してください。納付すべき金額の内訳を明確にされたい方は、検査申請書が提出された後に「計算書兼請求書」により申請担当者にお知らせいたします。

3.書類審査

3.1 書類審査



3.1.1 小型容器等  初めて当協会の検査を受検する型式の場合には、申請された型式が、危規則、告示及びHK検査試験基準に基づく構造であること等を確認するために書類審査を行います。



3.1.2 ポータブルタンク等  初めてHKの検査を受けるポータブルタンク等にあっては、容器の設計及び構造が危規則、告示及びHKの検査試験基準に適合したものを確認するために、型式毎に設計型式の承認を受けなければなりません。  設計型式承認は、申請者から提出された物件の仕様書、図面(物件の仕様、構造、材料、寸法、加工等が理解できる図面)、試験方法及び判定基準の記載された検査要領書等の資料を3部提出していただき、危規則、告示及びHKの検査試験基準に合致している容器であることを審査します。  既に設計型式の検査を受けている場合には、型式に変更がない場合には、設計型式の書類審査は省略し、検査を実施する際の外観検査において設計型式と同一であることを確認いたします。  なお、提出のあった資料のみで物件の内容が十分に理解できない場合は、追加の資料の提出又は説明を求める場合があります。

4.検査の実施

 危険物容器の検査を申請する場合は、申請、試験、検査の方法等についてHK支部と事前に打ち合わせを行って下さい。申請者は、打ち合わせに基づき、検査のための、性能試験に必要な準備、供試品等の検査準備及び試験を実施するために必要な人員等を用意して下さい。HK検査員の立会前に、社内で性能試験を試行しておくと、HK検査員の立会時の性能試験がスムーズに行えます。  検査は、書類審査、外観検査、落下試験等の性能試験及び工場調査です。性能試験は、基本的にHK検査員の立会の下で、製造者の担当者、unマーク管理責任者又は試験所の担当者が行います。工場調査は、HK検査員の立会の下で、unマーク管理責任者の説明により調査を行います。



4.1 供試品の準備
  小型容器等にあっては、性能試験に使用する容器(供試品)は、実際に運送に使用する容器と同じ構造及び設計のものを用意してください。HK検査試験基準に記載されているとおりに内容物を充てんして下さい。その際に、すべての供試品は、空容器質量、総質量、及び試験の充てん率での総質量、供試品の全高について計測し、個々に示しておいて下さい。
HKの検査員が立ち会った際にも重量、寸法について確認します。
ポータブルタンク等にあっては、実際に運送に使用する容器を検査します。



4.2 調質
 容器の種類によっては、性能試験に使用する供試品を、性能試験を実施する前に温度湿度調質又は低温調質を行わなければなりません。
 プラスチック容器(組み合わせ容器を除く。)にあっては、内容物と反応若しくは脆弱化しないプラスチック材を使用していることを確認するための試験を行う必要があります。試験方法及び取扱い方法の詳細については、HK支部に問い合わせて下さい。容器に使用するプラスチック材料に対して影響がないことが判明した物質は、危険物容器検査証に一覧表が添付されています。



4.3 積み重ね開始
  積み重ね試験において24時間以上荷重を積み重ねなければならない容器にあっては、荷重をかける前に、必ずHK検査員の指示により荷重及び状態を確認したうえで、積重を開始してください。供試品には、積み重ね開始の日付、時間、荷重及び試験開始時の容器の全高を表示しておいて下さい。



4.4 性能試験
 いずれの検査方式であっても、輸送しようとする危険物に適合した設計で構成し、製造された供試品又は実際に使用する容器により必要な性能試験を行います。性能試験の詳細は、HKの検査試験基準を参照して下さい。



4.5 工場調査
  B方式の検査の場合には、性能試験に合格した後に、試験に合格した危険物容器を製造する工場の品質管理、unマークの管理等について適切に実施できるかどうかをチェックするために製造工場を調査します。調査は、提出した関係書類が適切か、製造、管理が提出された書類通りに行われているか、どうかの実態調査を行い、HKが適否の判断をします。
 なお、複合容器の場合には、内容器及び外装容器の双方の製造工場を調査し、組合せ容器の場合には、組合せを行っている工場のみを調査します。いずれの場合でも、それぞれの容器(内装容器、内容器、外装容器及び組み立てを行う者)の製造者に関する資料を容器検査の申請時に提出して下さい。
 工場調査は、HK検査員の立会の下で、unマーク管理責任者の説明により調査を行います。日程をよく調整したうえで検査日を設定して下さい。



4.6 合否の判定
  検査は、書類審査、性能試験及び工場調査(工場調査はB方式の検査に限る。)のすべてにおいて危規則、告示及びHK検査試験基準に記載されている項目を満足していることを確認したうえで、総合的にHKが判断し、問題ない場合には、危険物容器の検査に合格となります。
  性能試験、工場調査いずれかのものが満足できるものでない場合には、不合格となります。
  危険物容器検査に要する期間は、申請者側が申請書類、供試品の準備、試験場所の設定等を行う準備の進行度合いに影響されることが多いです。(プラスチック容器で初めて受ける場合には、性能試験の内容により最長8ヶ月必要となることがあります。) 性能試験と工場調査を実施し、危険物容器検査証が交付されるまでには、HKの事務処理としては、3営業日前後以内で交付いたします。ただし、提出された図面等に不備がある場合、又は、郵送時間等により、3営業日以上の日数がかかることもあります。   ポータブルタンク等にあっては、検査に合格した場合は、当該物件に検査合格を示す当協会の検印及び検査を実施した支部のマークを附します。

5.証明書

5.1 危険物容器検査証の交付
  検査の合格した場合には、当協会から日本文の証明書(無料)を交付します。危険物容器の検査に合格すると危規則第113条第3項による「危険物容器検査証」(以下、「検査証」という。)が交付されます。検査証には、試験報告書及び容器の図面が添付されます。また、プラスチック容器にあっては収納物質一覧表も添付されます。
なお、検査証は、製造した危険物容器の「unマーク」の有効期間内は、危険物容器の使用者から照会がある場合がありますので保存してご使用下さい。



5.2 危険物容器検査証の再交付等
  また、交付した検査の証明書を紛失、毀損等をした場合には、再交付等を受けることができます。この場合には、検査を受検した当協会の支部に再交付等申請書(HK-12様式 )を提出し、交付手数料を納入してください。申請の際には検査証に添付する図面を同時に提出してください。
  再交付等の申請の種類は、次のとおりとなります。交付手数料は1通当たりの額は同じです。
(1) 検査証を紛失、毀損をした場合には、再交付の申請となります。
(2) 検査証の写しを必要とする場合には、複本交付の申請となります。
(3) 検査証の英訳書を必要とする場合には、英訳書交付の申請となります。



5.3 危険物容器検査証の有効期間
  検査証の有効期間は、検査した危険物容器に対して、容器を使用している間は有効です。危険物容器の「unマーク」の有効期間(後述の9.1参照)とは異なりますので、注意してください。
  B方式の検査で合格した型式にあっては、危険物容器検査証に「製造期間」の記載があります。これは、申請された個数の製造を認めたことの証明を兼ねていますので、検査証の交付日から1年、かつ、検査申請した製造個数を超えた製造は認めないことを示しています。
  危険物容器検査証に「次回検査年月」がある場合には、表示の有効期間がその年月に切れることを示していますので、その3ヶ月前から次回検査年月までに表示を継続して有効にするための定期検査又は中間検査を受検してください。

6.規則の概要

6.1 規則の体系
国際間における危険物の安全運送の確保及び効率化のために、国連において全ての運送モードにおける危険物運送の基本要件を定めた「危険物輸送に関する勧告」(Recommendation on the TRANSPORT OF DANGEROUS GOODS)(以下「国連勧告」という。)を定めています。  IMOでは、この国連勧告を基本にして海上運送上の様々な条件を考慮してIMDGコード(International Maritime Dangerous Goods Code:国際海上危険物規程)を策定しています。また、SOLAS条約(International Convention for the Safety of Life at Sea, 1974)第Ⅶ章の改正(2003年5月)により条約締結国は改正された規定全てを国内規則に取り入れ、実施することが強制されることとなりました。これに基づきIMDGコード第31回改正(平成16年1月1日施行)から強制要件となっています。現在の危険物船舶運送及び貯蔵規則は、国連勧告第14版を基本に改正されたIMDGコード第33回改正の内容をほぼ取り入れています。 国際危険物規則と国内規則の関係は、関係図 のとおりとなります。



6.2 危険物の輸送
 危険物を船舶で輸送する場合には、「危険物船舶運送及び貯蔵規則」(昭和32年運輸省令第30号、以下「危規則」という。)に従って行わなければなりません。危規則第8条第3項第1号に、告示に定める危険物を船舶により輸送する場合にあっては、検査を受け効力(unマーク)を有する表示が付されている容器及び包装によらなければならないことと定められています。なお、船舶以外で輸送する場合には、各々の基準がありますのでご注意下さい。
≪効力を有する表示(unマーク)の例≫
1A1/Y 1.5/150/05/J/HK/XXX
危険物容器をはじめ、危険物の船舶輸送に関する法令を理解する手段として、例えば、次の様な参考図書を備えておくと便利です。この図書はそれぞれ、規則を一冊の本にまとめたもので市販されておりますので、最新版を備えるようにして下さい。

書  籍  名 出版社及び連絡先
危険物船舶運送及び貯蔵規則 海文堂出版 03-3815-3292
成山堂書店 03-3357-5861
航空危険物輸送法令集 鳳文書林出版販売
03-3591-0909
航空危険物規則書
(IATA-DGR)
(一社)航空危険物安全輸送協会(JACIS)
03-5542-0712(TEL)



6.3 危険物容器の検査機関
危険物容器の検査をする機関としては、危規則第113条第1項で、地方運輸局長又は登録検査機関((一財)日本舶用品検定協会(以下「HK」という。))が行うことと定められています。
また、航空法施行規則第194条第3項により、HKが検査を行い合格した容器にあっては、航空法施行規則及び航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示で規定される検査に合格したものとみなされています。

7.危険物の決定

7.1 危険物の決定
危険物を運送するためには、規則で規定された容器及び包装で運送しなければなりません。そのためには、荷送り人が、運送しようとする危険物が何であるか、運送される経路、運送先について理解していなければなりません。
ここで「危険物」或いは「告示に定める危険物」とは、「船舶による危険物の運送基準を定める告示」(昭和54年運輸省告示第549号、以下「告示」という。)に定められている危険物を指します。つまり、危規則第2条で危険物の定義が定められ、告示で具体的な危険物の品名に対する容器等級、容器及び包装の種類及び容器要件、積載方法等の輸送に必要な事項が定められています。
危険物であっても、告示別表第1に品名が見あたらない場合、探している品名が、通称、俗称、商品名であったり、混合物であって、混合比率又は組成が異なるなどが考えられます。このときには、正式な品名で検索し、それでもない場合には、危険性データを基に「その他の・・・」の品名のうち該当する品名を決定してください。
従って、荷送人は、危険物により容器の設計要件などを検討するために、危険物の質量の他に、容器等級、危険物の種類(液体、粉体、粒体、塊体等)、危険物の物性(比重、引火点、蒸気圧等)を容器製造者に知らせる必要があります。
また、輸送する危険物が、固体・液体の別、どの様な危険性を有するか等を判断するため、「物質の危険性評価の試験方法及び判断基準」(告示別表第1備考2)が国土交通省海事局において定められています。この基準は、(一社)日本海事検定協会で出版されています。判定のための試験は、(一社)日本海事検定協会理化学分析センター等で行ってください。
危険物によっては、容器及び包装の種類が明示されていない場合があります。これらの危険物の輸送に必要な容器及び包装等の要件は、船積地を管轄する地方運輸局長(又は国土交通大臣)の指示を受ける必要があります。



7.2 検査の必要のない危険物容器
告示別表第1に定める危険物を輸送する場合は「有効なunマーク」を表示した容器で輸送しなければなりません。次の危険物はunマークを表示する必要はない(容器検査が必要ない。)と告示第10条により規定されています。

(1) 放射性物質等
(2) 少量危険物
  別表第1の品名欄に掲げる物質のうち、少量危険物の許容容量又は許容質量の欄に容量又は質量が掲げられている危険物であって、次に掲げる要件に適合するもの。
(a) 告示別表第1の小型容器又は高圧容器の欄にP003が掲げられている危険物以外の危険物にあっては、同欄に定める組合せ容器に、同欄にP003が掲げられている危険物にあっては、同欄に定める小型容器に収納して運送されるものであること。
(b) 内装容器の容量又は内装容器に収納される危険物の質量が、告示別表第1の少量危険物の許容容量又は許容質量の欄に掲げられている容量又は質量以下であること。
(c) 総質量(内装容器、緩衝材等及び外装容器を含む。)が30キログラム以下であること。
(3) 告示別表第1の容器及び包装の欄において、容器検査を必要としないことが定められている危険物
(4) 船積地を管轄する地方運輸局長が差し支えないと認める危険物

8.容器の決定

8.1 容器の要件
危険物の輸送に当たっては、原則として告示に定める容器及び包装で輪送しなけれなりません。その容器及び包装にも種々の選択肢があります。該当する危険物に使用する容器及び包装が定まらなければ危険物の輸送はできません。
容器は、告示で定められている危険物の品名毎の容器要件及び危険物容器検査試験基準の設計及び構造の要件を満足し、性能試験に合格するような強度を有するものでなければなりません。 収納する危険物、容量等を考慮して、適切な材質、構造、形状、寸法をもつ容器を選定し、容器の具体的な仕様を定めて、設計して下さい。
複数の危険物を収納することを想定する容器にあっては、その想定する危険物毎の要件等を確認したうえで、それらをすべて満足するように容器を選定し設計して下さい。
また、輸送手段及び輸送する危険物に適合した危険物容器でなければ危険物容器検査を行っても無駄となる場合がありますので、荷送人、危険物容器製造者等の関係の方々で選定する必要があります。(危険物容器を決定するためにフローチャート を参照して下さい。)
航空運送、陸上運送(車両、鉄道による運送)をする場合には、日本国内の規則及び輸出相手国の危険物の運送に関する規則にも適合したものでなければなりませんので、設計においてはそれらも考慮してください。



8.2 容器の種類
危険物容器の種類は、危規則第2条第2号の2から第2号の6及び告示に規定されるもので、小型容器、IBC容器、大型容器、ポータブルタンク及び高圧容器があります。詳細は危規則、告示並びに各容器の危険物容器検査試験基準を参照して下さい。(主な容器の種類

9.表示の有効期限

9.1 危険物容器に表示されたunマークの有効期間
  容器に表示された表示の有効期間の開始日は、検査証の交付日以降です。ただし、危険物容器の効力は、次の場合には失われますので注意を要します。(危規則第113条の3、告示第25条の7参照。)
(1) 容器及び包装に重大な損傷がある場合
(2) 承認を受けた容器包装の安全性に影響のある改造をした場合
(3) プラスチックドラム及びプラスチックジェリカンにあっては、製造月から5年(危険物によっては、2年となるものがあります。)
(4)
(a) ポータブルタンク、金属製IBC容器、液体を収納するもの以外の硬質プラスチック製IBC容器、液体を収納するもの以外のプラスチック製内容器付複合IBC容器:製造月から2年6ヶ月(検査を受けることにより、再度、2年6ヶ月有効となる。)
(b) 液体を収納する硬質プラスチック製IBC容器及び液体を収納するプラスチック製内容器付複合IBC容器:製造月から2年6ヶ月(検査を受けることにより、再度、2年6ヶ月有効となるが、製造月から5年以内に限る。)
(c) 高圧容器にあっては、製造月からHK検査試験基準に定める期間を経過した場合
10.危険物容器検査試験基準

10.1 危険物の容器及び包装(UN容器)の検査試験基準
  容器に表示された表示の有効期間の開始日は、検査証の交付日以降です。ただし、危険物容器の効力は、次の場合には失われますので注意を要します。(危規則第113条の3、告示第25条の7参照。)
  小型容器、IBC容器の検査試験基準のダウンロードはこちらから。
  その他の容器については当協会支部までお問い合わせ願います。

   ・小型容器
   ・IBC容器