3.書類審査 |
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3.1 書類審査 3.1.1 小型容器等 初めて当協会の検査を受検する型式の場合には、申請された型式が、危規則、告示及びHK検査試験基準に基づく構造であること等を確認するために書類審査を行います。 3.1.2 ポータブルタンク等 初めてHKの検査を受けるポータブルタンク等にあっては、容器の設計及び構造が危規則、告示及びHKの検査試験基準に適合したものを確認するために、型式毎に設計型式の承認を受けなければなりません。 設計型式承認は、申請者から提出された物件の仕様書、図面(物件の仕様、構造、材料、寸法、加工等が理解できる図面)、試験方法及び判定基準の記載された検査要領書等の資料を3部提出していただき、危規則、告示及びHKの検査試験基準に合致している容器であることを審査します。 既に設計型式の検査を受けている場合には、型式に変更がない場合には、設計型式の書類審査は省略し、検査を実施する際の外観検査において設計型式と同一であることを確認いたします。 なお、提出のあった資料のみで物件の内容が十分に理解できない場合は、追加の資料の提出又は説明を求める場合があります。 |
4.検査の実施 |
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危険物容器の検査を申請する場合は、申請、試験、検査の方法等についてHK支部と事前に打ち合わせを行って下さい。申請者は、打ち合わせに基づき、検査のための、性能試験に必要な準備、供試品等の検査準備及び試験を実施するために必要な人員等を用意して下さい。HK検査員の立会前に、社内で性能試験を試行しておくと、HK検査員の立会時の性能試験がスムーズに行えます。 検査は、書類審査、外観検査、落下試験等の性能試験及び工場調査です。性能試験は、基本的にHK検査員の立会の下で、製造者の担当者、unマーク管理責任者又は試験所の担当者が行います。工場調査は、HK検査員の立会の下で、unマーク管理責任者の説明により調査を行います。 4.1 供試品の準備 小型容器等にあっては、性能試験に使用する容器(供試品)は、実際に運送に使用する容器と同じ構造及び設計のものを用意してください。HK検査試験基準に記載されているとおりに内容物を充てんして下さい。その際に、すべての供試品は、空容器質量、総質量、及び試験の充てん率での総質量、供試品の全高について計測し、個々に示しておいて下さい。 HKの検査員が立ち会った際にも重量、寸法について確認します。 ポータブルタンク等にあっては、実際に運送に使用する容器を検査します。 4.2 調質 容器の種類によっては、性能試験に使用する供試品を、性能試験を実施する前に温度湿度調質又は低温調質を行わなければなりません。 プラスチック容器(組み合わせ容器を除く。)にあっては、内容物と反応若しくは脆弱化しないプラスチック材を使用していることを確認するための試験を行う必要があります。試験方法及び取扱い方法の詳細については、HK支部に問い合わせて下さい。容器に使用するプラスチック材料に対して影響がないことが判明した物質は、危険物容器検査証に一覧表が添付されています。 4.3 積み重ね開始 積み重ね試験において24時間以上荷重を積み重ねなければならない容器にあっては、荷重をかける前に、必ずHK検査員の指示により荷重及び状態を確認したうえで、積重を開始してください。供試品には、積み重ね開始の日付、時間、荷重及び試験開始時の容器の全高を表示しておいて下さい。 4.4 性能試験 いずれの検査方式であっても、輸送しようとする危険物に適合した設計で構成し、製造された供試品又は実際に使用する容器により必要な性能試験を行います。性能試験の詳細は、HKの検査試験基準を参照して下さい。 4.5 工場調査 B方式の検査の場合には、性能試験に合格した後に、試験に合格した危険物容器を製造する工場の品質管理、unマークの管理等について適切に実施できるかどうかをチェックするために製造工場を調査します。調査は、提出した関係書類が適切か、製造、管理が提出された書類通りに行われているか、どうかの実態調査を行い、HKが適否の判断をします。 なお、複合容器の場合には、内容器及び外装容器の双方の製造工場を調査し、組合せ容器の場合には、組合せを行っている工場のみを調査します。いずれの場合でも、それぞれの容器(内装容器、内容器、外装容器及び組み立てを行う者)の製造者に関する資料を容器検査の申請時に提出して下さい。 工場調査は、HK検査員の立会の下で、unマーク管理責任者の説明により調査を行います。日程をよく調整したうえで検査日を設定して下さい。 4.6 合否の判定 検査は、書類審査、性能試験及び工場調査(工場調査はB方式の検査に限る。)のすべてにおいて危規則、告示及びHK検査試験基準に記載されている項目を満足していることを確認したうえで、総合的にHKが判断し、問題ない場合には、危険物容器の検査に合格となります。 性能試験、工場調査いずれかのものが満足できるものでない場合には、不合格となります。 危険物容器検査に要する期間は、申請者側が申請書類、供試品の準備、試験場所の設定等を行う準備の進行度合いに影響されることが多いです。(プラスチック容器で初めて受ける場合には、性能試験の内容により最長8ヶ月必要となることがあります。) 性能試験と工場調査を実施し、危険物容器検査証が交付されるまでには、HKの事務処理としては、3営業日前後以内で交付いたします。ただし、提出された図面等に不備がある場合、又は、郵送時間等により、3営業日以上の日数がかかることもあります。 ポータブルタンク等にあっては、検査に合格した場合は、当該物件に検査合格を示す当協会の検印及び検査を実施した支部のマークを附します。 |
5.証明書 | ||||||
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5.1 危険物容器検査証の交付 検査の合格した場合には、当協会から日本文の証明書(無料)を交付します。危険物容器の検査に合格すると危規則第113条第3項による「危険物容器検査証」(以下、「検査証」という。)が交付されます。検査証には、試験報告書及び容器の図面が添付されます。また、プラスチック容器にあっては収納物質一覧表も添付されます。 なお、検査証は、製造した危険物容器の「unマーク」の有効期間内は、危険物容器の使用者から照会がある場合がありますので保存してご使用下さい。 5.2 危険物容器検査証の再交付等 また、交付した検査の証明書を紛失、毀損等をした場合には、再交付等を受けることができます。この場合には、検査を受検した当協会の支部に再交付等申請書(HK-12様式 )を提出し、交付手数料を納入してください。申請の際には検査証に添付する図面を同時に提出してください。 再交付等の申請の種類は、次のとおりとなります。交付手数料は1通当たりの額は同じです。
5.3 危険物容器検査証の有効期間 検査証の有効期間は、検査した危険物容器に対して、容器を使用している間は有効です。危険物容器の「unマーク」の有効期間(後述の9.1参照)とは異なりますので、注意してください。 B方式の検査で合格した型式にあっては、危険物容器検査証に「製造期間」の記載があります。これは、申請された個数の製造を認めたことの証明を兼ねていますので、検査証の交付日から1年、かつ、検査申請した製造個数を超えた製造は認めないことを示しています。 危険物容器検査証に「次回検査年月」がある場合には、表示の有効期間がその年月に切れることを示していますので、その3ヶ月前から次回検査年月までに表示を継続して有効にするための定期検査又は中間検査を受検してください。 |
6.規則の概要 | ||||||||
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6.1 規則の体系 国際間における危険物の安全運送の確保及び効率化のために、国連において全ての運送モードにおける危険物運送の基本要件を定めた「危険物輸送に関する勧告」(Recommendation on the TRANSPORT OF DANGEROUS GOODS)(以下「国連勧告」という。)を定めています。 IMOでは、この国連勧告を基本にして海上運送上の様々な条件を考慮してIMDGコード(International Maritime Dangerous Goods Code:国際海上危険物規程)を策定しています。また、SOLAS条約(International Convention for the Safety of Life at Sea, 1974)第Ⅶ章の改正(2003年5月)により条約締結国は改正された規定全てを国内規則に取り入れ、実施することが強制されることとなりました。これに基づきIMDGコード第31回改正(平成16年1月1日施行)から強制要件となっています。現在の危険物船舶運送及び貯蔵規則は、国連勧告第14版を基本に改正されたIMDGコード第33回改正の内容をほぼ取り入れています。 国際危険物規則と国内規則の関係は、関係図 のとおりとなります。 6.2 危険物の輸送 危険物を船舶で輸送する場合には、「危険物船舶運送及び貯蔵規則」(昭和32年運輸省令第30号、以下「危規則」という。)に従って行わなければなりません。危規則第8条第3項第1号に、告示に定める危険物を船舶により輸送する場合にあっては、検査を受け効力(unマーク)を有する表示が付されている容器及び包装によらなければならないことと定められています。なお、船舶以外で輸送する場合には、各々の基準がありますのでご注意下さい。 ≪効力を有する表示(unマーク)の例≫ ![]() 危険物容器をはじめ、危険物の船舶輸送に関する法令を理解する手段として、例えば、次の様な参考図書を備えておくと便利です。この図書はそれぞれ、規則を一冊の本にまとめたもので市販されておりますので、最新版を備えるようにして下さい。
6.3 危険物容器の検査機関 危険物容器の検査をする機関としては、危規則第113条第1項で、地方運輸局長又は登録検査機関((一財)日本舶用品検定協会(以下「HK」という。))が行うことと定められています。 また、航空法施行規則第194条第3項により、HKが検査を行い合格した容器にあっては、航空法施行規則及び航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示で規定される検査に合格したものとみなされています。 |
7.危険物の決定 | ||||||||||||||||
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7.1 危険物の決定 危険物を運送するためには、規則で規定された容器及び包装で運送しなければなりません。そのためには、荷送り人が、運送しようとする危険物が何であるか、運送される経路、運送先について理解していなければなりません。 ここで「危険物」或いは「告示に定める危険物」とは、「船舶による危険物の運送基準を定める告示」(昭和54年運輸省告示第549号、以下「告示」という。)に定められている危険物を指します。つまり、危規則第2条で危険物の定義が定められ、告示で具体的な危険物の品名に対する容器等級、容器及び包装の種類及び容器要件、積載方法等の輸送に必要な事項が定められています。 危険物であっても、告示別表第1に品名が見あたらない場合、探している品名が、通称、俗称、商品名であったり、混合物であって、混合比率又は組成が異なるなどが考えられます。このときには、正式な品名で検索し、それでもない場合には、危険性データを基に「その他の・・・」の品名のうち該当する品名を決定してください。 従って、荷送人は、危険物により容器の設計要件などを検討するために、危険物の質量の他に、容器等級、危険物の種類(液体、粉体、粒体、塊体等)、危険物の物性(比重、引火点、蒸気圧等)を容器製造者に知らせる必要があります。 また、輸送する危険物が、固体・液体の別、どの様な危険性を有するか等を判断するため、「物質の危険性評価の試験方法及び判断基準」(告示別表第1備考2)が国土交通省海事局において定められています。この基準は、(一社)日本海事検定協会で出版されています。判定のための試験は、(一社)日本海事検定協会理化学分析センター等で行ってください。 危険物によっては、容器及び包装の種類が明示されていない場合があります。これらの危険物の輸送に必要な容器及び包装等の要件は、船積地を管轄する地方運輸局長(又は国土交通大臣)の指示を受ける必要があります。 7.2 検査の必要のない危険物容器 告示別表第1に定める危険物を輸送する場合は「有効なunマーク」を表示した容器で輸送しなければなりません。次の危険物はunマークを表示する必要はない(容器検査が必要ない。)と告示第10条により規定されています。
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8.容器の決定 |
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8.1 容器の要件 危険物の輸送に当たっては、原則として告示に定める容器及び包装で輪送しなけれなりません。その容器及び包装にも種々の選択肢があります。該当する危険物に使用する容器及び包装が定まらなければ危険物の輸送はできません。 容器は、告示で定められている危険物の品名毎の容器要件及び危険物容器検査試験基準の設計及び構造の要件を満足し、性能試験に合格するような強度を有するものでなければなりません。 収納する危険物、容量等を考慮して、適切な材質、構造、形状、寸法をもつ容器を選定し、容器の具体的な仕様を定めて、設計して下さい。 複数の危険物を収納することを想定する容器にあっては、その想定する危険物毎の要件等を確認したうえで、それらをすべて満足するように容器を選定し設計して下さい。 また、輸送手段及び輸送する危険物に適合した危険物容器でなければ危険物容器検査を行っても無駄となる場合がありますので、荷送人、危険物容器製造者等の関係の方々で選定する必要があります。(危険物容器を決定するためにフローチャート を参照して下さい。) 航空運送、陸上運送(車両、鉄道による運送)をする場合には、日本国内の規則及び輸出相手国の危険物の運送に関する規則にも適合したものでなければなりませんので、設計においてはそれらも考慮してください。 8.2 容器の種類 危険物容器の種類は、危規則第2条第2号の2から第2号の6及び告示に規定されるもので、小型容器、IBC容器、大型容器、ポータブルタンク及び高圧容器があります。詳細は危規則、告示並びに各容器の危険物容器検査試験基準を参照して下さい。(主な容器の種類) |
9.表示の有効期限 | ||||||||||||||
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9.1 危険物容器に表示されたunマークの有効期間 容器に表示された表示の有効期間の開始日は、検査証の交付日以降です。ただし、危険物容器の効力は、次の場合には失われますので注意を要します。(危規則第113条の3、告示第25条の7参照。)
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10.危険物容器検査試験基準 |
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10.1 危険物の容器及び包装(UN容器)の検査試験基準 容器に表示された表示の有効期間の開始日は、検査証の交付日以降です。ただし、危険物容器の効力は、次の場合には失われますので注意を要します。(危規則第113条の3、告示第25条の7参照。) 小型容器、IBC容器の検査試験基準のダウンロードはこちらから。 その他の容器については当協会支部までお問い合わせ願います。 ・小型容器 ・IBC容器 |